フランスの電子インボイス制度 

フランスの電子インボイス全体像

1.フランスの電子インボイス

①フランスの電子インボイスは2023年から義務化?

フランス政府は、新しい電子インボイス制度は、2023年に始まるバリューアッドタックス(VAT)の回避をさせないことに役立つと発表しました。新しい電子インボイス制度と電子申告の義務化は、BtoG(会社と政府のビジネス)、BtoB(会社と会社ビジネス)、国境を越えたBtoB(会社と会社のビジネス)、国内のBtoC(会社と顧客のビジネス)に適用されます。

ヨーロッパ全土において、電子インボイスの義務化は急激に広がっています。これは、一つの目的の達成のために進められています。その目的とは、2020年に164ビリオンユーロと概算される付加価値税(VAT)間の乖離を埋めるためです。

2023年はまだ遠い日だと思われるかもしれません。特に、ビジネスが今直面している挑戦しがいのある状況からみれば・・・。まぁ、とにかくフランスやフランスの会社と取引している企業は今から準備を始めた方がいいですね。強制適用が始まったら、迅速に対応しなくてはならないのですから。

②BtoG、GtoGの電子インボイスはChorusProを使う?

フランスでは、BtoG、GtoGは独自のプラットフォームであるChorus Proに集約されるそうです。ChorusProは、AIFE(フランス政府財務情報技術局)によって開発され、管理されています。

③BtoG、GtoGの電子インボイスはChorusProに集約される

・ChorusProは、AIFE(フランス政府財務情報技術局)によって開発され、管理されています。

・州や地方、公共施設と契約を結んで直接的に支払いを受ける外注業者は、電子フォームでインボイスを送信します。

・州、地方、公共施設は電子フォームのインボイスを受領します。究極的には、約78,000のフランスの公的機関が、1年で約1億枚のインボイスをChorusProを通じてやり取りします。

A.ChorusProポータルとは?

・費用と工数を削減

起業と顧客両方の生産性を上げることに役立つ

・安全な送信・受信方式

・持続的発展に役立つ

CO2の削減、紙、輸送手段の削減・・・等

・完全に無料!

B.ChorusProを使うのは誰?

・2017年1月1日~:大企業

5000人以上の従業員・・・等

・2018年1月1日~:中企業

250人~5000人の従業員・・・等

・2019年1月1日~:中小企業

10人~250人の従業員・・・等

・2020年1月1日~:すべての零細企業

1人ビジネスも含む

C.Chorus Proで受領できる電子インボイスのフォーマットは?

・インボイスフォーマット

UBL、CIIに加え、ヨーロッパ基準のsyntax

・PDFインボイス

サイン入り、サインなしも。ChorusProでアップロードしたもの。プラットフォーム上でPDFはOCRで読み取りできる。OCRでチェックし、手動で修正できます。

・XML

・ハイブリッドインボイスFACTUR-X

④BtoBとBtoCの取引の電子インボイス制度もできる?

フランス政府が義務化したBtoGの電子インボイス制度を基盤として、BtoB、BtoCの領域にも電子インボイス制度を拡大していくことでしょう。フランス政府の提案によれば、早くて2023年1月、遅くても2025年の1月に義務化されます。それによってフランスでは、次の影響が表れることでしょう。

・サービスプロバイダーによってBtoB用の電子インボイスが導入

・国境を越えたBtoB、国内のBtoC取引の電子インボイスが導入

2023年11月時点で最終的な結論はでていませんが、フランス政府は、公的な電子インボイスシステムを開発するのではなく、私企業による電子インボイスシステムの開発を好んでいるようです。私企業であれば、多様な帳票に対応するシステムを作れるからです。

法規の改正時によくあるように、電子インボイスの義務化によって、現在は収集されていない新たな商業情報であるとか、税金の情報も必要となってきます。これに対応するために、企業と取引先に請求書のデザインを一新しないといけないというプレッシャーを与えることでしょう。有名なところでは、インドの政府が、新しいBtoB法規を作ったところ、40以上の新しいデータフィールドが加えられたということです。

2.電子インボイスは今後全世界に広まっていくのか?

フランスの義務化は電子インボイスが世界的に広まっていく一つの例でした。インドの電子インボイス制を見てもわかるとおり(40か所新規記載欄が増えました)、世界的な電子インボイスの法規制に従っていくのは、難しいプロセスです。しかしながら、早期に情報を入手し、先んじて対策してしまえば、すっきりした気分になります。

次回は、オーストラリアの電子インボイス制をご紹介します。