「人手不足で給料を上げるしかない」と悩む建設会社社長へ。
その投資、国が大きく税金で返してくれます。
「現場の職人さんの給与を上げないと人が定着しない。でも上げれば利益が削られる……。一体、どこまで給料を上げればいいのか」
建設業の経営者様と面談していると、近年、最も頻繁に耳にするのがこの悩みです。物価高騰による資材高に加え、人件費も上げざるを得ない。経営者として、その苦渋の決断は非常によくわかります。
しかし、今日は「賃上げ」に対する見方を、少し変えてみませんか?というご提案です。
実は、国が推進している「賃上げ促進税制」を活用することで、これまで「ただのコスト増」だと思っていた人件費が、「賢い戦略」へと生まれ変わる可能性があるのです。
今日は、私が日頃から顧問先の建設会社様にお伝えしている、「戦略的な賃上げ」の考え方について解説します。
もくじ
1. そもそも「賃上げ促進税制」とは何か?
国が導入している「賃上げ促進税制」は、簡単に言うと「従業員の給与総額を前年より一定以上増やした企業に対して、その増やした分の一部を法人税から直接差し引く(税額控除)」という制度です。
「法人税を払うくらいなら、従業員の給与を上げたほうがマシだ」と考えたことはありませんか? まさにその願いを叶えるのがこの制度です。
経営者が知っておくべきポイント
通常、経費を増やせば利益が減り、結果として税金も減ります。しかし、この税額控除は「利益から経費を引いた後の税額」から、さらに差し引くことができます。つまり、効果が非常に高いのです。
建設業において、この制度をうまく活用すれば、「優秀な人材を確保しつつ、支払う予定だった税金を減らし、それを次の投資に回す」という、好循環のサイクルを作ることができます。
2. 建設業こそ「賃上げ」が最強の経営戦略になる理由
なぜ、建設業界にとって、今この制度が重要なのでしょうか。理由は大きく分けて3つあります。
① 離職率の低下=トータルコストの抑制
建設業において、熟練の職人さんが一人辞めることによる損失は計り知れません。採用費、教育費、そして何より「現場の工期に与える影響」を考えれば、数万円の月給アップは決して高いコストではありません。賃上げによって定着率を上げることは、中長期的に見れば最も安上がりな経営戦略です。
② デジタル投資と組み合わせた「生産性の向上」
「賃上げ」を単なる給与アップで終わらせてはいけません。今の建設現場で最も求められているのは、デジタル活用による生産性向上です。
例えば、これまで手書きで作成していた日報や請求書を、ITツールを使ってデジタル化することで、現場の事務負担を大幅に削減できます。浮いた時間で職人さんはより多くの現場をこなせるようになり、結果として売上が向上します。
「給与を上げる」ことと「ITを導入して効率化する」ことをセットで行えば、国からの税制優遇を受けながら、同時に会社の利益率そのものを引き上げることができます。人手不足の今、少ない人数で高い利益を生み出すための「デジタル投資」を、この賃上げ促進税制を活用して後押ししてみてはいかがでしょうか。
③ 「いい仕事」を支えるのは「人」であるというメッセージ
経営者が「会社の利益だけでなく、従業員の生活のことも考えている」という姿勢は、現場のモチベーションに直結します。税制という公的な後押しがある今こそ、賃上げを「経営者としてのリーダーシップを示すチャンス」と捉えてみてください。
3. 注意すべき「落とし穴」
ここまで良いことばかりを並べましたが、当然、税理士として注意していただきたい点もあります。
「赤字」では恩恵を受けにくい
この制度の基本は「法人税から差し引く」ことです。赤字でそもそも法人税が発生していない場合、この恩恵を十分に受けることができません。
要件の厳格化
「給与総額を何パーセント増やすか」という基準や、「教育訓練費をどの程度使ったか」など、要件は年々複雑になっています。制度の適用を受けるには、事前にしっかりとしたシミュレーションが必要です。
安易な賃上げはNG
補助金や減税があるからといって、利益を度外視して極端に給与を上げれば、当然資金繰りは悪化します。貴社の売上構造、キャッシュフロー、そして今後の受注計画と照らし合わせ、「持続可能な賃上げ」のラインを見極める必要があります。
4. 経営者様へ:まずは「数字」で見てみましょう
「うちの場合、具体的にいくらぐらい税金が安くなるの?」
そう思われたら、それが賃上げを検討するベストなタイミングです。
税理士として、私はただ数字をまとめるだけでなく、「貴社の経営方針に沿った賃上げ計画」を一緒に考えるパートナーでありたいと思っています。
まずは直近の決算書や試算表をもとに、
* 賃上げを行った場合にどれだけ税金が変わるか
* どの程度の給与アップなら経営を圧迫しないか
をシミュレーションしてみませんか?
無理な賃上げは経営を苦しめますが、戦略的な賃上げは会社の未来を変えます。
「まずは一度、話を聞いてみたい」というだけでも大歓迎です。建設業の現場をよく知る税理士として、貴社のさらなる発展を数字の面から全力でサポートいたします。
ご相談は、以下の問い合わせフォーム、または公式LINEからお気軽にメッセージをください。
[初回相談無料|建設業経営支援窓口]
5. 「税理士の選び方」
「賃上げ促進税制は、制度の要件が非常に細かく、決算書をただ眺めるだけでは見落としてしまう可能性があります。特に建設業は特有の原価管理があるため、そこを理解した上で『利益を確保しながら税額控除を最大化する』には、業界に詳しいパートナーが必要です。」
6. 「よくある質問(Q&A)」
Q. 給与は上げたばかりですが、これからでも間に合いますか?
A. はい、十分に間に合う可能性がございます。
賃上げ促進税制は、すでに支給した給与の「確定申告(または法人税申告)」のタイミングで適用を適用する税制です。そのため、すでに給与を引き上げた後であっても、決算を迎えて申告書を提出する前であれば計算及び手続きは可能です。
ただし、建設業においては「経営事項審査(経審)」の加点対象となる賃上げ要件も絡むため、どのタイミングの昇給がどの事業年度(および経審)に反映されるかのスケジュール管理が非常に重要になります。
「うちの会社のケースでも間に合うか確認したい」という段階でも全く問題ございませんので、お早めにご相談ください。
Q. 相談したからといって、必ず契約しないといけないのでしょうか?
まずは貴社が「賃上げ促進税制の対象になるかどうか」「どれくらいの効果が見込めるか」を知っていただくことが最優先だと考えております。
初回のご相談(またはお見積もり)の段階で、現在の状況や建設業特有の事情(経審への影響など)をヒアリングさせていただき、当事務所がお手伝いできる内容と費用をご提示いたします。
お持ち帰りになってじっくりご検討いただき、ご納得いただいた場合のみご契約となります。どうぞ肩の力を抜いて、セカンドオピニオンを受けるような感覚でお気軽にご活用ください。
7. ライター(税理士)より

建設業の経営者様とお話ししていると、現場への愛着と、経営の難しさの両方を感じます。少しでも経営のヒントになれば幸いです。
※本記事は一般的な税制の解説であり、個別の案件については適用要件が異なる場合があります。貴社の具体的な状況については、必ず専門家にご相談の上、慎重にご判断ください。