「TRUIST銀行」って何だろう?-月1万円~の税理士はポートサイド税理士事務所!
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「世界にはどんな銀行があるんだろう?」、「アメリカの銀行はどうやって大きくなったのだろう?」、「アメリカの銀行の開業当初はどうだったのだろうか?」こういった疑問に答えます。
もくじ
1.本記事の信頼性
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本記事は、ニューヨークで経理の仕事をしていた筆者が執筆しています。
皆さんご存じのとおり、ニューヨークは世界金融の中心地となっています。
この記事は、世界金融の中心地の最前線で働いていた筆者が書いている記事なので、信頼性は高いと言えます。
なお、現在、筆者は横浜市泉区で税理士事務所を経営しています。
2.読者さんへのメッセージ
社長や個人事業主の皆様と関わり合いを持つ銀行。
銀行は、日本においては、スーパーエリートという印象ですが、銀行とは、そもそもどういった経緯で大きくなったのでしょうか?
このあたりの背景を知っておくと、銀行とのお付き合いや、経営に関して役立つと考えました。
今回は、アメリカにある4,344行(2020年)の銀行のうち7位のTRUIST銀行をご紹介しましょう。
なお、TRUIST銀行が、2019年に大きな合併で成立した銀行で、2022年の現在においても、支店の統廃合と大量レイオフを進めています。
従業員の方は、大変な状況だと思います。最後にこのM&Aと支店の統廃合についてまとめています。
本記事は、3分で読み終わります。3分後にあなたは、「世界有数の銀行について、少しわかったかも。少し掴んだかも。」という状態になれれば幸いです。
では、はじまりはじまり~。
3.TRUIST銀行って何?
①TRUIST銀行とは?
TRUIST銀行の正式名称は、「TRUIST Financial Corporation」と言います。アメリカの銀行持ち株会社です。
TRUIST銀行は、アメリカ銀行ランキング7位となっています。
アメリカはGDP世界一ですから、TRUIST銀行は当然世界ランキングの上位にも食い込んでいます。
②TRUIST銀行の本社・支店はどこにあるの?
TRUIST銀行の本社は、ノースカロライナ州のシャーロットにあります。
シャーロットには、通勤圏内に280万人が住んでいます。このエリアは1567年にスペイン人によって発見され、その頃はネイティブアメリカンが住んでいました。シャーロットは、Bank of the America、Wells Fargoなどの大企業の本社があります。
TRUIST銀行は、2,781近くの支店を持ちます。8位のPNC銀行とほぼ同じ支店数です。
参考までに我が国時価総額1位の銀行である東京三菱銀行は、国内支店519、海外支店107(2021年)です。
単純に支店数だけみても、TRUIST銀行は、東京三菱銀行の約5.5倍の大きさだとも言えます。
ただし、アメリカは、ネットバンキングが主流なので、実際は、5.5倍より遥かに大きいでしょう。
TRUIST銀行は、巨大な銀行です。
③TRUIST銀行の取扱業務は?
TRUIST銀行は、預貯金業務、融資業務、株式売買、保険事業を行っています。
一般的銀行+株+保険業という我が国の銀行が行っている銀行グループ事業とほぼ同じと考えて良さそうです。
4.TRUIST銀行の開業時はどうだったのか?
①TRUIST銀行の1872年創業時~1994年は?
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TRUIST銀行の前身であるBranch and Company銀行は、1872年(明治初期)に設立された歴史ある銀行です。この銀行は、当初創業者の苗字である「Branch」をとって、名付けられたのです。その後、何回も名前を変えながら、2019年のM&Aによって、ついにTRUIST銀行になりました。では、TRUIST銀行の約150年に渡る長い歴史を、では、これから見ていきましょう!
創業者は、Alpheus BranchとThomas Jefferson Hadleyです。
Alpheusは、大規模農園の息子で、先祖は、ノースカロライナ市長でもあり、名門一家出身です。南北戦争時代に大学に通い、従軍もしました。ノースカロライナは、南軍で、奴隷制度を支持していました。結局南軍は敗戦しました。
戦後のノースカロライナは厳しい状態でしたが、彼はノースカロライナを立ち直らせることに奔走しました。鉄道など様々な事業に投資しました。南北戦争敗戦時点で、南部にいながらも、事業の投資資金を多く有していたのは、やはり、南北戦争以前からの資金力が大きかったでしょう。
「風と共に去りぬ」と全く同時代のお話なので、「風と共に去りぬ」の時代背景が参考になりそうです。
Alpheus以前の先祖が、奴隷を使って、綿花を栽培していて、それにより、すでに巨万の富を築いていて、その資金を、戦後、鉄道に投資したということでしょう。
アンドリュー・カーネギー自伝によると、南北戦争時の鉄道は、まだ、大きな石の上に線路を乗せているという不安定な状態で、枕木も怪しく脱線や事故が多かったそうです。しかし、それでも乗車人数がうなぎのぼりになっていたとのことです。
乗客人数がうなぎのぼりなところで、鉄道株でかなり稼げたのでしょう。
そして、TRUIST銀行の前身となる銀行を設立しました。
この銀行の特徴としては、商人のみならず、農民に貸付をしたことでした。農民はこの貸付により肥料を買うことができました。
「風と共に去りぬ」でも南北戦争後、紙幣の価値がゼロになり、種も苗も家畜も全て燃えてしまって、飢え死に寸前まで行ったという場面がありました。
大農場の農園主でも飢え死にするような時代で、農民もお金がなくて、肥料すら買えなかったのですね。
肥料を買うため、お金を貸してくれるところ、それがTRUIST銀行の起こりでした。
確かに一たび大農園主に、お金を貸して、農園主が農業経営を始めて利子をつけて返済してくれて、TRUIST銀行は大きくなったのでしょう。
世界有数の銀行もその開始時は、意外と地道なところからスタートだったのですね。
②TRUIST銀行の1995年~2007年は?
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120年後は、いきなり明治時代から平成1年になりました。これから、TRUIST銀行は、M&A(企業買収・合併)で拡大していきます。
これは、現在の世界トップ銀行も同じ方向性をとっていますし、日本の銀行も再編成などもしばしば行われていますが、この路線でしょう。ドラマ「華麗なる一族」を思い出します。
1995年にTRUIST銀行は、Southern National 銀行をM&Aしました。これによりTRUIST銀行は、カロライナとバージニア州の220の町において437の支店を持つに至りました。
その後、TRUIST銀行は1990年代を通じて、アメリカ国内で拡大を続けました。Fidelity Financial銀行、First Financial of Petersburg、Meryland Federal Bancorp、Franklin Bancorporationなどを手にいれました。1998年には、TRUIST銀行は、MainStreet Financial of Martinsville、Mason-Dixon Bancshares of WestminsterなどをM&Aしました。First Liberty of MaconそしてMatewan Bancsharesなどを手に入れました。
2000年代に入り、TRUIST銀行は、One Valley Bancorpを手に入れました。そして、MidAmerica Bancorp of Louisvilleを手に入れました。2003年、2005年、2006年にもM&Aを続けました。
③TRUIST銀行のサブプライムショック時(2007年~2008年)は?
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2008年には、さすがに米国財務省から救済を受けました。しかし、2009年にはそれを返済しています。
そして、2008年に、Puckett, Scheetz&HoganをM&Aし、同年には、J.Rolfe DavisをM&Aしました。2009年には、Colonial 銀行をM&Aしました。
TRUIST銀行は、サブプライム時もほぼ打撃を受けず、即座にM&Aを始め、拡大し続けました。
④TRUIST銀行の2008年~コロナ前までは?
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TRUIST銀行は、サブプライム後、コロナ前まで、ひたすら、M&Aで拡大を続けました。
TRUIST銀行は、Atlantic Risk ManagementをM&Aし、2011年には、PreceptをM&Aしました。2012年には、Atlantic銀行をM&Aしました。2013年には、Citigroupの21の支店をM&Aしました。そして、2014年には、Citigroupの41以上の支店をM&Aしました。2015年には、Susquehanna銀行をM&Aし、2016年には、Swett&CrawfordをM&Aし、2016年には、National PennをM&Aしました。そして、その後も拡大を続けました。
5.Sun Trust銀行との合併・統廃合・レイオフ
TRUIST銀行は、2019年に、BB&T(Branch Banking and TRUST Company)とSun Trust銀行をM&Aすることによって、TRUIST Financial Groupとなりました。
この合併時に、TRUIST銀行は、1.6ビリオンダラー(日本円で約1,600億)の経費削減を提示しました。
同じ立地に、BB&TとSun Trust Bankが立っていた場合に、1つにまとめるということです。レイオフは、辞めてくれと従業員たちは、懇願しました。
このTRUIST銀行のM&Aによる支店閉鎖は、時間がかかり、2021年までかかりました。結局、59,000人の従業員が、54,000人にまで削減されました。約10%のリストラでした。Sun Trust銀行の従業員は、2,018年に23,000人でした。おそらくSun Trust銀行側が、5,000人近く減らされて、後は、TRUIST銀行の中でちょっとイマイチな社員が、M&Aに乗じてレイオフされた可能性があります。
Sun Trust銀行の従業員は、4人に1人、25%くらいがレイオフにあったかのかもしれません。
TRUIST銀行は、2022年の1Q(1~3月)までは、さらに800の支店を閉鎖しようとしています。1,600億円の経費削減目標を達成しようとしているのです。
筆者は、M&Aにわりと詳しいので、どういうことが起こっているのか解説します。
M&Aというのは、概して、シナジー効果を出すために行われます。
シナジー効果とは、まさにTRUIST銀行が行われているように1つの街に、2つの銀行はいらなくなるので、1つにまとめるということです。経営者は、これによって、売上は、2倍、経費は1/2にできると考える訳です。(実際は、これほどぴったりの数字にはならないのですが。)
経営者は、M&Aで、相手方に大金を払っていて、おまけに、従業員から反発されたりするリスクがあることをわかって、なお、リスクをとってそれを進めるのです。なぜかというと、メリットがリスクを遥かに上回るということが計算上はじき出されているからなのです。
また、大規模M&Aを行うと当然ニュースになりますから、企業側から見ると、広告宣伝のシナジー効果も出ると思われます。
大抵5年くらいで合併に関連するコストを回収して、それからは、売上や利益を増やし続け、株主に還元することで、経営者はよい経営者だと評価されることになります。
つまり、経営者は株主の喜ぶ行動(売上UP、利益UP、配当UP、株価UP)をとりますが、従業員は、レイオフされ、次の仕事を探さなくてはならなくなります。
経営者と株主の向かっている方向は同じですが、経営者と従業員の向かっている方向は違うのです。
M&Aは、経営者=株主側にとっては、いいことずくめなのですが、従業員にとっては、たまったものではありません。
では、従業員はどうしたらいいのでしょうか?
従業員が従業員である限り、いつまでも、レイオフの恐怖には、付きまとわれるでしょう。レイオフされないように従業員は、高度なスキルを身に着けたり、社会性を身に着けたりするのが唯一の生き残り策です。それでもレイオフされる恐れはあります。
従業員は、やはり勤め人の間に、高度なスキルを身に着けるように努力し続け、同業他社の研究を進めておき、いつでも同業他社へ転職できるように市場研究を進めるか(アメリカには、9,980行の金融機関があります。)、あるタイミングで独立できるようにいつでも準備しておく必要があるのではないでしょうか?
これが従業員がM&Aを切り抜けられる唯一の道の気がします。
6.TRUIST銀行のコロナ期は?
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そして、TRUIST銀行は、コロナ期においても躍進し続けます。やっぱりM&Aです。
TRUIST銀行は、2021年8月というコロナ期においても、Service Finance Co.をM&Aしています。
TRUIST銀行のM&Aの歴史を見ていると、ほぼ本業と同業種をM&Aしています。近年には、アメリカ銀行ランキングの上位を占めるCitigroupの支店すらM&Aしています。飛躍が素晴らしい銀行であるといえるでしょう。
7.TRUIST銀行って何?のまとめ
今回は、アメリカ第7位を誇るTRUIST銀行について、その成功の秘訣を紐解いてみました。
TRUIST銀行は、元々、おそらく奴隷制に基づいた綿花産業で成功した南部の農場主が、商業貸付に加え、農業貸付を行ったことから発展した銀行です。その後は、ひたすらM&Aで拡大しながらついに全米7位(ちなみに全米に金融機関は、9,980行あります。)の銀行にまで上りつめました。
ニューヨークメロン銀行などTRUIST銀行より前からあった銀行もありますが、色々な国家間の問題に巻き込まれて縮小したところもありました。
その中で、TRUIST銀行は、問題に巻き込まれることは一切なく、むしろひたすら拡大しているところを見ると、天才的な経営の才能があるのかもしれないです。次は、そのあたりを調査してみたいと思います。